目次電子回路工作素材集PLLシンセサイザ発振器(2)


PLLシンセサイザ発振器(2)の調整


 調整に必要なツール


 調整の手順
    調整準備
      ICソケットを使用している場合には、IC1およびIC2をソケットから外しておきます。
      (配線に誤りがあった場合、ICが壊れてしまうので、安全のためです)
      配線が細かいのでハンダブリッジ(隣の端子または配線とハンダが接触してしまう)が無いかどうか十分に確認をします。
      コンデンサ、ダイオード、トランジスタなど極性がある部品は取り付けが正しいかを確認します。



    電源の確認
      電源を接続します。
      テスターを電圧測定モードにしてマイナスのリード線を接地に接続し、プラスのリード線で以下の電圧を測定します。(この後の電圧測定ではマイナスリードは全て接地に接続して行います)
      +5Vの電源電圧が出ない場合には回路がショートしていることが考えられますので、直ちに電源を切ります。

        +5Vの電源電圧
        IC1の3番ピン
        IC2の8番ピン

      電圧の確認が終了したら、電源を一度外して、IC1およびIC2を搭載します。
      電源を入れたままICを着脱してはいけません。(ICが壊れてしまいます)
      ICの装着が終わったら、再び電源を入れます。



    基準周波数の確認
      MC145163の25pinに周波数カウンタを接続し、基準周波数を確認します。
      基準周波数として10.24MHzが出ていればOKです。

      正常に動作しない場合
      10.24MHzが出ない場合は、水晶発振回路を確認する必要があります。

        水晶発振回路
        水晶発振回路は配線だけなので目視でハンダブリッジ、ハンダルーズ(ハンダがちゃんと付いていない)を確認します。



    分周比の設定
      分周指定をBCDで行います。「デジタル・ダイアル」で紹介したBCDカウンタがあればカウンタの出力を使うことができます。
      分周指定のBCDと出力周波数は以下のようになります。
      BCD入力端子に何も接続しない場合は "L" 状態になります。
分周比102101100 出力周波数
(MHz)
202322212023222120
1400LLLLLLLLL133.300
1401LLLLLLLLH133.310
1402LLLLLLLHL133.320
1403LLLLLLLHH133.330
1404LLLLLLHLL133.340
1405LLLLLLHLH133.350
1406LLLLLLHHL133.360
1407LLLLLLHHH133.370
1408LLLLLHLLL133.380
1409LLLLLHLLH133.390
1410LLLLHLLLL133.400
1411LLLLHLLLH133.410

途中省略
1595HHHHHHLHH135.250
1596HHHHHHHLL135.260
1597HHHHHHHLH135.270
1598HHHHHHHHL135.280
1599HHHHHHHHH135.290

"L"は 0V 、"H"は +5V を表します。


    出力周波数の確認
      分周比指定の端子を全てオープン(L)状態にします。
      OUT1に周波数カウンタを接続して、出力に133.300MHzが出ていることを確認します。
      正常な出力が出ない場合はL1を調整します。
      分周比の端子に以下に示す順で+5Vを接続して周波数の変化を確認します。
端子名称 出力周波数
(MHz)
100-20133.310
100-21133.320
100-22133.340
100-23133.380
101-20133.400
101-21133.500
101-22133.700
101-23134.100
102-20134.300



    出力バッファの調整
      簡易型の高周波検出器で出力バッファの同調を調整します。
      出力電圧が最も高くなるようにOUT1はL2を、OUT2はL3をそれぞれ調整します。


    以上で調整が終了しました。