電子回路を作った後の試験、調整は重要なことです。簡単な回路ですと作ればすぐに動作しますが、複雑になると、ハンダ付け不良とか、調節が必要だったりして、うまく動きません。出来上がった回路を試験したり、調整する道具をいくつか紹介します。
テスター
電圧を測ったり、電流を測ったり、抵抗値を確認したり、発光ダイオードの極性を確認したり、いろいろな測定ができます。電子回路工作を行う上で必需品です。写真のものはアナログ式でメーターと呼ぶ針の部分で測定結果を確認するものです。他にデジタル式があり、デジタル表示を見て測定結果を確認します。デジタル式の方が正確に測ることが出来ますが、アナログ式でも十分に使えます。
測定出来る項目は基本的には以下のものがあります。
・直流電圧
・交流電圧
・直流電流
・抵抗値
それ以外に、コンデンサ容量、コイルのインダクタンス、トランジスタの特性などを測れるものもあります。
安定化電源
回路にAC100Vの電源回路がある場合は良いのですが、私が作る回路はだいたい電源は別に用意することが多いです。ですから出来上がった回路の動作確認を行うためには電源装置が必要となります。
回路によっては、電源電圧が+12Vであったり、+5Vであったりしますので、電源装置としては電圧が変更できるものの方が便利です。
コンデンサ容量計
コンデンサの容量は部品に表示されていますが、部品のページでも述べているように、メーカによって表示方法が違う場合があったり、表示が消えてしまったりすることがあります。また、容量の誤差を確認したい場合もあります。
そのようなときに容量計が便利です。
必需品というわけではありません。
LCRメータ
こちらはLCRメータといって L(コイル)、C(コンデンサ)、R(抵抗)の各値を測定できるものです。
測定範囲は
コイル | : | 1μH | 〜 | 200H |
コンデンサ | : | 0.1pF | 〜 | 200μF |
抵抗 | : | 0.01Ω | 〜 | 20MΩ |
右の写真は56μHのコイルを2mHレンジで測定しているところです。
53μHと表示されています。
これはどちらかというと持っていた方が便利です。
信号発生器
電子回路の動作確認を行うときに外部から信号を入力して確認を行う場合があります。
写真のものはファンクション・ジェネレータと言って、矩形波、サイン波、三角波を発生させることができるものです。0.5Hzから300KHzまでの信号を発生することができます。回路キットを買ってきて自分で組み立てたものです。
測定器を自作したとき注意しなくてはならないのは測定精度です。測定器に誤差が多かったら、何を測っているのか分からなくなってしまいます。
この測定器も市販の周波数カウンタで調整しましたので、私が作る回路を確認するのには十分使えます。
周波数カウンター
発振周波数の確認をするためのものです。小型のものですが、5Hzから50MHzまでの周波数を測定することができます。
オシロスコープ
電圧の波形を観測するのに使います。
写真のものは非常に古いもので、もう、市販していません。もっと良いものが市販されています。要は電圧の波形が観測できれば良いわけです。
TV信号の映像波形で調節することもありますので、出来たら持っていた方が良いと思います。
でも、これを持つのは、結構、のめり込んでしまった人かな。
ノギス
オシロの後にノギスとはバランスが悪いのですが、物の大きさを1/10単位で測れるものです。
デジタル・マルチメータ
電圧、電流、その他の測定結果をデジタルで表示する測定器です。
アナログ式のテスターに比べて、表示が見やすいし、測定できる内容も非常に豊富です。
デジタル式は電池がなくなると測定ができなくなりますが、アナログ式のテスターでは抵抗の測定以外は電池がなくても可能です。最近はデジタル式の方が良く使われます。私はどちらかというとアナログ式を使用しています。
この測定器は温度を測定するきっかけで購入しました。秋月電子通商で購入したのですが、機能が豊富なのに4200円でした。
海外製品?で説明書は全て英文です。
テスターの左側に黄色いコネクタで接続されている線は熱電対温度測定のプローブです。先端に熱電対温度センサーが付いています。
写真のものは32ポジションのスイッチで測定項目を選択します。 以下のような測定が可能です。
計測項目 | 計測範囲 | 計測項目 | 計測範囲 |
種別 | レンジ | 種別 | レンジ |
直流電圧
(DC-V) | 200mV | 100μV 〜 200mV |
交流電圧
(AC-V) | 20V | 10mV 〜 20V |
2V | 1mV 〜 2V | 200V | 100mV 〜 200V |
20V | 10mV 〜 20V | 750V | 1V 〜 750V |
200V | 100mV 〜 200V |
交流電流
(AC-A) | 200mA | 100μA 〜 200mA |
1000V | 1V 〜 1000V | 20A | 10mA 〜 20A |
直流電流
(DC-A) | 20μA | 10nA 〜 20μA | コンデンサ | 2000pF | 1pF 〜 2000pF |
20mA | 10μA 〜 20mA | 20nF | 10pF 〜 20nF |
200mA | 100μA 〜 200mA | 200nF | 100pF 〜 200nF |
20A | 10mA 〜 20A | 2μF | 1nF 〜 2μF |
抵抗 | 200Ω | 0.1Ω 〜 200Ω | 20μF | 10nF 〜 20μF |
2kΩ | 1Ω 〜 2kΩ | 温度 | -50℃ 〜 +1000℃ |
20kΩ | 10Ω 〜 20kΩ | 周波数 | 2KHz | 1Hz 〜 2KHz |
200kΩ | 200Ω 〜 200kΩ | 20KHZ | 10Hz 〜 20KHz |
2MΩ | 1kΩ 〜 2MΩ | hFE | トランジスタのhFEを計測 |
20MΩ | 10kΩ 〜 20MΩ | ダイオード | 順方向電圧降下を計測 |
200MΩ | 100kΩ 〜 200MΩ | ロジック | TTLでの"H","L"を表示 |
ディップメータ
ディップメータは共振回路の周波数を計る装置です。メータの中に発振回路が入っていて発振エネルギーをメータに表示するようになっています。
左の写真の測定器はサガ電子工業株式会社のDM-250です。発振回路のコイルをケースのソケットに取り付ける形式で、コイルの種類を変えることにより測定するレンジが変えられます。
測定方法は測定する共振回路のコイルにディップメータのコイルを近づけ、測定器のダイアルを回して発振周波数を少しずつ変えます。共振周波数になるとディップメータの発振エネルギーが測定対象の共振回路に吸い取られ、メータの針が下がります。下がることを英語でディップ(Dip)と言うので、ディップメータと呼ばれています。
ディップメータは上記のように共振周波数を調べるだけではありません。
測定回路の発振周波数を計測できます。ディップメータの発振回路を止め、発振している回路にディップメータのコイルを近づけ、ダイアルを回します。発振周波数になると、メータの針が上がり、発振周波数が分かります。
簡易発振器として使えます。発振回路を動作させるとダイアルで示される周波数で発振します。ですから、受信機の調整などの場合、ディップメータを目的の周波数で発振させ、受信機の同調回路の調整をすることができます。また、受信機の周波数がどの周波数に同調しているか分からない場合も、ディップメータの周波数を変えながら見つけることができます。
このメータでは周波数カウンターのような詳細な周波数は分かりません。
上記のディップメータの場合、コイルを変えることにより以下のような周波数の計測ができます。
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コイル | 周波数範囲 |
A | 1.5 〜 4MHz |
B | 3.3 〜 8MHz |
C | 6.8 〜 18MHz |
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コイル | 周波数範囲 |
D | 18 〜 47MHz |
E | 45 〜 110MHz |
F | 100 〜 250MHz |
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