目次事例集超音波距離測定器測定器ユニット


超音波距離測定器ユニット 調整



測定器の準備



部品の取り付け方向の確認

各々の部品を取り付ける際に方向は十分気をつけていると思いますが、ついうっかりと間違えている可能性もあります。部品を取り付け終わった後、改めて取り付け状況の確認を行います。

ICの取り付けにソケットを使用している場合、ICの取り付け方向を逆にしてしまうこともありますので注意します。

半田付けを目視で確認します。




電源の確認

ICソケットを使用している場合には、ICをソケットに取り付ける前に電源電圧の確認を行います。外部から+12V以上+30V以下の電圧を電源端子に接続します。
IC1〜IC9の電源ピンの電圧が+9Vであることを確認します。
+9Vでない場合には直ちに電源を止めて、半田ブリッジ(隣の端子と半田でつながってしまう)などが無いかどうかをチェックします。




送信機の調整

    超音波周波数の調整

    まずは電源を切った状態で以下の設定をします。

    IC1をソケットから取り外し、1番ピンおよび3番ピンを細い金属線(部品のリード線のあまりなど)で短絡させます。これにより、IC3の1番ピンがLレベルになり、IC2の4番ピンがHレベルになります。IC2の4番ピンがHレベルになると超音波が連続的に送出されるようになります。
    受信機のIC4を実装します。IC4の1番ピンの電圧をオシロスコープでモニターするかまたは簡易レベルメータでモニターできるようにします。

    電源を投入します。

    超音波センサーを壁などの前に置き、送信された超音波が受信センサーで受けられるようにします。
    IC4の出力のモニターしながら、VR1をゆっくり回して、IC4の出力が最大になるようにします。最大になったところが送信センサーの共振周波数です。この後、動かさないようにします。

    以上で送信機の調整は終わりです。

    電源を切った後、IC1の短絡線を外し、IC1を実装します。

    電源を投入して、再びIC4の出力をモニタします。
    IC1を実装すると超音波の送信は連続ではなくなるので、IC4の出力は下がります。
    オシロスコープでみるとバースト的な波形が見えます。

上の写真の超音波パルスは受信機側で観測したものです。



受信機の調整

    誤検出防止用コンデンサの調整

      調整する必要はあまりないのですが、送信パルスを誤検出してしまう場合にはコンデンサ(C11)を少し容量の大きいものに交換してみます。
      誤検出している場合には数m以上の距離を測定しても表示が0.40位で変化しません。

上の写真は約2mの距離を測定しているときの各部分の信号波形を観測したものです。
一番上は送信タイミングパルスです。IC6の1番ピンの波形です。
二番目は信号検出回路(IC6)の基準電圧です。D3のカソード側の波形です。
誤検出防止電圧の変化が観測されています。
三番目は受信信号です。IC4の1番ピンの波形です。
送信パルスと受信パルスが観測されています。
四番目は時間測定ゲート回路の出力波形です。IC6の10番ピンの波形です。
送信信号は検出せずに受信信号でゲートが閉じていることが観測されています。



    計測パルス周波数の調整

      VR2およびVR3を使用して計測パルスの周波数を調整します。
      この調整は最終的に装置をケースに納めた後に行います。



試験的に調整する場合にはVR3の代わりにショートピンを使用すると便利です。


      測定器の測定基点はセンサーの振動板の位置になります。今回使用したセンサーの場合、センサーの底から約5mmの位置に振動板がありますので、ここが基点になります。
      センサーの基点から1m離れたところに垂直に板を立てて、測定器をその板に向けます。測定環境の温度が約20℃の場合にはVR3を中央の位置にしてVR2を回し、表示が1.00となるように調整します。
      周囲温度が変わった場合には1mの距離を測定し、VR3を回して表示が1.00になるように調整します。