ダイオードとは電流を片方向のみ流す半導体部品です。半導体とはもともとこの性質があるので半導体と呼ばれるわけです。トランジスタも半導体ですが、ダイオードは特にこのような片方向に電流を流す目的のものを指しています。半導体の材料としてはシリコン(珪素)が多いのですが、他にゲルマニューム、セレンなどもあります。ダイオードの用途としては電源装置での交流電流を直流電流にする整流器としての用途、ラジオの高周波から信号を取り出す検波用、電流のON/OFFを制御するスイッチング用途等、非常に広範囲な使い方をします。回路記号としては が使われます。 記号の意味は (アノード)(カソード) でアノード側からカソード側には電流が流れることを示しています。 ダイオードの中には単に順方向に電流が流れる性質を利用する以外に、以下の用途のものがよく使われます。 右のグラフはダイオードの特性を表したグラフです。 順方向に電圧を掛けた場合、少しの電圧でも順方向の電流は流れ易いことを表してします。 順方向に流せる電流はダイオードによって規定されています。また、通常で使う場合ダイオード自体の抵抗成分によって降下する電圧は0.6〜1V(VF)位あります。(シリコン・ダイオードの場合、だいたい0.6V) ダイオードを何個も直列に使う回路ではこの電圧降下も考慮する必要があります。 整流用途などの場合、順方向の電流許容値は重要なチェックポイントです。 逆方向に電圧を掛けた場合、逆方向電流は流れにくいことを表しています。 逆方向に掛けられる電圧はダイオードの種類によっていろいろありますので、用途によって選びます。また、逆方向の電流は非常に小さく数μAから数mAでダイオードの種類によって違います。 整流用途などの場合、逆方向の電圧許容値は重要なチェックポイントです。 整流用、スイッチング用、電圧安定用ダイオード ダイオードにはどちらかのリード線側に帯状の印が付いています。 この印はカソード側を示しています。 写真の場合、右から左には電流が流れ、左から右には電流が流れないことになります。 写真の一番上と二番目のものは電流の整流用途のものです。 上が6Aの電流が流せるもの、その下が1Aの電流が流せるものです。 この電流値は最大定格ですので、実際に使用するのには最大でも70%位で使うようにした方が無難です。 三番目の赤っぽいものは1S1588と呼ばれるスイッチング用のダイオードです。最大電流は120mAですが、ON/OFFの切り替えが高速行えるので、スイッチング用に使われます。デジタル回路では良く使います。 逆方向電圧の最大値は30Vとなっています。 一番下のものはツェナーダイオードで6Vのものです。逆方向に電圧を掛けた場合、約6Vで一定になり、入力電圧をさらに上げようとすると、ダイオードを流れる電流が増え、電圧は変わりません(多少は変わる)。でも、流せる電流は30mA位で壊れますので、流れ過ぎないように電流の保護を考えなければいけません。 電源の安定化には通常3端子レギュレータを使いますので、このダイオードの用途は瞬間的な過電圧(あまり大きくはない場合)から回路を保護する用途などに使います。 3端子レギュレータは内部でツェナダイオードを使っています。 ダイオード・ブリッジ 交流電圧を直流電圧にするために整流用ダイオードを使います。1つのダイオードでは半波整流(プラスとマイナスの交互に変化する電圧のプラス側またはマイナス側のどちらかだけを使う)しかできませんが、ダイオードを4個組み合わせると全波整流を行うことができます。 4個を組み合わせてあるものがダイオード・ブリッジです。 左の写真はダイオード・ブリッジの例です。 写真右のものは1Aのもので直径が10mm、高さが7mmの円柱形をしています。 写真左は4Aのもので、板状をしています。幅19mm、高さ16mm、厚さ6mmです。 右の写真のものは大電力用のダイオード・ブリッジです。 電流容量は15Aまで流せます。また、逆電圧耐圧も400Vあります。 中心にネジを通す穴が空いており、この位の電流容量のものですと、放熱のために金属の板にネジ止めする必要があります。 大きさは一辺が26mmでモジュール部分の高さが10mmです。 発光ダイオード ( LED:Light Emiting Diode ) 発光ダイオードはいろんな種類のものがありますので、用途に合わせて選ぶことができます。 赤、緑が多いですが、青い色を発色するものもあります。 写真右のものは一つに赤のものと緑のものが入っているものです。真ん中の足が共通で、片方が赤用、もう片方が緑用です。それぞれを点けることも当然できますが、両方を同時に点けるとオレンジ色になります。 発光ダイオードの極性の確認方法は新品の場合にはリード線の長い方がアノード側、短い方がカソード側になります。 極性が分からない場合には1.5Vの電池をつないで確認するか、テスタの抵抗測定モードで確認します。 テスタで確認する場合には低抵抗測定レンジとして赤と黒のテスタ棒を発光するようにダイオードのリードにそれぞれつなぎます。光らない場合にはテスタ棒を逆にします。光っているダイオードにつないでいる黒のテスタ棒側がアノード側です。テスタで抵抗測定モードの場合、黒の方にプラス電圧が出ています。 発光ダイオードの変わった使い方として定電圧を得るために使うこともあります。 発光ダイオードは順方向の電圧降下(VF)がほぼ2Vで割と一定しています。 発光ダイオードで電圧の安定化を図った例を「折り曲げ加工装置−2 温度計」に記載しています。 ショットキー・バリア・ダイオード ダイオードは交流を直流に整流するために使用されますが、交流の周波数が高くなると整流が出来なくなります。これは逆回復(リカバリ)特性に関係しています。逆回復特性というのは以下のようなことです。 ダイオードに順方向電流が流れている状態で急に逆方向の電圧をかけると一瞬逆方向に電流が流れてしまいます。(本当は逆方向なので電流が流れないはずですけど)この逆方向に流れる電流が止まるまでの(逆電流のピークの10%位にまで下がる)時間を逆回復時間と言っています。 ショットキー・バリア・ダイオードはこの逆回復時間が短く、高周波の整流に適したダイオードです。 ショットキー・バリア・ダイオードは以下の特徴があります。
・逆回復時間が短い
・サージ耐力が低い このダイオードは上記の逆回復時間が短いので、高周波スイッチングを行うスイッチング・レギュレータに良く使用されます。 |