発振回路 発振回路としてヒステリシス特性を持ったインバータを使用しています。発振器の出力は矩形波です。発振周波数はVR1により変化させることができます。発振周波数の調節は出力電圧の調整に使用されます。今回作成した回路では334KHzから12,650KHzまで変化させることができました。上限の周波数はICの高周波特性に依存します。 インバータを使用した発振器の動作については「矩形波発振器」を参照して下さい。 電流増幅回路 1つのインバータから取り出せる電流はICの種類により異なりますが、あまり大きくありません。 74HC14の場合には1回路のインバータで最大4mAの出力電流を流すことができます。今回の電源で取り出せる出力電流は約2mAですので、インバータ1つでもOKですが、インバータを並列に接続して、余裕のある回路にしています。74HC14の場合、1つのパッケージに6個のインバータが入っています。その内の4個を並列に接続しています。発振に使うインバータの直後のインバータはバッファー用で負荷電流の変動が発振に影響するのを少なくするためのものです。バッファーを使用せずに5個のインバータを並列接続しても良いと思います。 通常、論理回路の出力を他の論理回路の出力と接続することはしません。それは異なる信号が入力されると出力が競合し、ICが壊れてしまうためです。 今回の回路の場合、入力は全て同じなので、出力も全て同じタイミングでHまたはLになるので、出力を並列に接続することができます。でも、厳密にはあまり好ましい方法ではありません。 共振回路 発振器で作られた矩形波信号は最大電圧が5Vp-p(Low:0V、High:+5V)です。この信号をコイルとコンデンサを使用した共振回路により交流信号に変換します。 LとCによる共振回路により、プラスとマイナスに変化する交流信号を作ります。共振周波数が取り出す周波数になります。 共振周波数はで求められます。L=18μH、C=330pFとして計算すると共振周波数は約2MHzになります。 実際に作成した回路では2,140KHzが共振周波数でした。 電圧増幅整流回路 この回路は倍電圧回路と言われる回路です。入力された交流信号を高い電圧の直流電圧にする回路です。 入力交流信号のマイナスのサイクルではD1を通してコンデンサ(C)に電荷が溜められます。これによりコンデンサの両端の電圧はVcになります。 次に入力交流電圧のプラスのサイクルでは入力電圧(Vi)とコンデンサの電圧(Vc)が加わり、出力にはVi+Vcの電圧が出力されます。 ViおよびVcの値は入力交流の周波数および負荷に流れる電流により変動します。 今回の回路では高周波のスイッチング動作をするので、ダイオードとしてはリカバリー時間の短いショットキー・バリア・ダイオードを使う必要があります。 平滑回路 電圧増幅整流回路から出力される直流電圧は半波整流されたもので、出力には脈流が含まれています。この脈流を少なくするために平滑回路を使用します。本格的な平滑回路では抵抗器の部分にコイルを使用しますが、今回の回路では抵抗器で代用しています。そのため、出力電流が増えると出力電圧がコイルを使用した場合より多く低下することになります。 |