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MC34063A モトローラ社のスイッチング・レギュレータ用ICです。 動作周波数は約200kHzまで可能であり、スイッチング電流も1.5Aまで扱うことができます。 外部に取り付ける回路を変更することにより、ステップアップ、ステップダウン、インバーティングと3種類のコンバータ動作をさせることができます。 放熱器は取り付けず、IC本体からの放熱およびピンからの熱伝導によるプリントパターンへの放熱を行っています。ですから、プリントパターンとしては電流容量を考慮する以外に放熱も考慮して、太めのパターンとします。また、ICも熱効率を考慮してソケットは使用せず、直接取り付けています。 トロイダル・コイル L1のコイルは入力からの電気エネルギーを蓄えてレギュレータのスイッチング動作により出力にエネルギーを放出する役割をします。ステップアップでは 125μH, 2A のもの、ステップダウンでは 250μH, 2A 、インバーティングでは 72μH, 2A 、二次フィルタでは 25μH, 2A を使用しています。トロイダル形状はコイルで発生する磁束の漏れが少なく、損出が少なく効率が高いコイルです。 L2のコイルは出力の脈流を減らす二次フィルタのコイルです。 ショットキー・バリア・ダイオード レギュレータのスイッチング動作により変化する電流の流れを出力側のみに流す役割をします。 スイッチング動作は比較的高速なので、ダイオードとしては逆回復時間の短いショットキー・バリア・ダイオードまたはファースト・リカバリ・ダイオードを使う必要があります。 ダイオードの電流許容値は負荷電流の1.5から2倍の容量のものを使用する必要があります。 今回は富士電機製のERB81-004(VRRM=40V,IO=1.7A)のものを使用しました。 過電流検出用抵抗器 入力回路に直列に挿入され、入力電流の検出を行うための抵抗器です。今回の回路では抵抗器に0.22Ωを使用していて、消費電力は以下のようになります。 P = VI = V x V/R = (0.3V)2/0.22Ω = 0.41W 余裕をみて定格電力1Wの抵抗器を使用しています。 電圧調整用固定抵抗器 出力電圧を調整するために使用している固定抵抗器です。電圧を変化させるための可変抵抗器(VR1)による調節範囲により値を決めます。この抵抗器に流れる電流は少ないので、抵抗器の定格電力は1/8Wのものを使用しています。 電圧調整用可変抵抗器 出力電圧の調整用に使用します。この抵抗器に流れる電流は少ないので、小型の可変抵抗器を使用しています。 ドライブ・トランジスタ用抵抗器 メインのスイッチング・トランジスタを駆動するドライブ・トランジスタのコレクタ電流を制限するための抵抗器です。ステップアップ・コンバータの場合に使用しています。ステップアップ・コンバータの場合、スイッチング・トランジスタのコレクタに加わる電圧はかなり変動します。ですから、ドライブ用のトランジスタは比較的安定している入力電圧で制御するようにしています。(サンプル回路でそうなっています。理由は私の想像。) ドライブ・トランジスタのON状態でコレクタに流れる電流は以下のようになります。
トランジスタがONしている時間を80%とすると、P = 0.7 x 0.8 = 0.56Wになります。ですから、抵抗器の定格電力は1Wのものを使用しています。
低ESR電解コンデンサ スイッチング・レギュレータではコンデンサに流れる充放電電流が大きいので、等価直列抵抗値(ESR)の小さなものを使う必要があります。特にC2は大きな電流が流れるので、ESRの低いものを使用する必要があります。 ESRが大きいと、充放電電流により、コンデンサ内部の抵抗で熱が発生し、電圧降下も発生し脈流が増加することになります。コンデンサに過大な熱が加わるとコンデンサの寿命が短くなります。 温度補償コンデンサ 発振回路のタイミング・コンデンサには積層セラミック・コンデンサを使用しました。このコンデンサには温度補償されているものを使用します。温度の変化によるコンデンサ容量の変化が少ないタイプです。メーカにより異なると思いますが、識別のために頭に黒いラインが引かれているものがそれです。スチロール・コンデンサなども温度による容量変化が少なく、使用することができます。 プリント基板 ポジティブ感光基板を使用しました。サイズは 75mm x 50mm のものを使用しました。 ケーブル接続端子 入力および出力のケーブルを接続するための端子です。この形状である必要はありません。またはプリント板に直に線をつなぐのであれば必要はありません。 金属スタッド プリント基板をケースに取り付けるために使用します。金属である必要はありません。 |