目次→電子回路工作素材集→PLLシンセサイザ発振器(1)→回路説明
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MB87014AはCMOSで作られたPLLシンセサイザ用のICです。 形状は16pinのDIP(Dual In Line Package)で表面実装タイプ(SMT:Surface Mount Type)です。 このICは以下の機能ブロックから構成されています。
動作可能周波数は仕様では180MHzまでです。 特徴的なのは基準分周器と比較分周器の分周比を指定するためにはシリアルデータを使用する点です。 実は、この特徴はICのpin数を少なく出来るので良いのですが、別に分周比を指定するシリアルデータ発生回路が必要となります。 このIC用の分周比設定ICまたは回路があるのかもしれません。 今回紹介するPLLは固定の周波数を出力する目的ですので、シリアルデータは電源投入時の初期設定動作として初期化回路により発生させるようにしています。 汎用のロジックICで構成したため、比較的大きな回路となり、実際のプリント基板では大部分がこの初期化回路で占められています。 入出力信号とその機能
水晶発振子 薄く板状にした水晶に電極を取り付けたものです。板の厚さにより振動する振動数が決まります。 特定の周波数を安定に発振させることができます。 プログラマブル分周器の分周比
基準分周器用、比較分周器用とも上記のように分周比を16ビットで指定します。 ただ、基準分周器と比較分周器ではその扱いが異なっています。 基準分周器の場合
指定範囲は5〜65535まで可能です。 比較分周器の場合
20 〜 25の6ビットはスワロウ・カウンタと呼ぶカウンタで扱い、26 〜 215はプログラマブル・カウンタで扱います。 それぞれ以下の指定範囲です。
ですから比較分周器の指定できる範囲は320 〜 65535までになります。
Clockの立ち上がりでデータを取り込みます。 LEがHレベルの時Data部のコントロールビットがHかLかで基準分周器用(H)か比較分周器用(L)かを判定します。
この状態は「全てがゼロ」以外のデータを指定すると解除されます。 発振器用インバータ
インバータの出力を水晶発振子を通してインバータの入力に戻すことにより、水晶発振子の固有周波数で安定した動作を行わせます。 デュアル・モジュール・プリスケーラ
分周比設定データ(16ビット)の上位10ビットをプログラマブル・カウンタの設定値として使用しています。 位相比較器
それぞれの入力周波数と位相比較器およびチャージ・ポンプの出力の関係は下図のようになります。 基準分周器からの周波数(fr)と比較分周器からの出力(fv)を比較して、その結果を5種類出力します。 今回の回路ではパッシブ・ローパス・フィルタ用のDOP出力を使用しています。 この出力はfvが低い(周期が長い)場合、DOPには差分に応じたプラスの信号が出力されます。 VCOの回路説明で説明しているようにVCOの周波数調整にバリキャップ・ダイオードを使用していて、電圧が高くなるとダイオードのキャパシタンス(コンデンサ容量)が小さくなります。 ですから、DOPから出力される電圧がプラスになるとバリキャップの容量が小さくなり、VCOの発振周波数が高くなります。 逆にfvが高い(周期が短い)場合、DOPには差分に応じたマイナスの信号が出力されます。 これによりバリキャップに加わる電圧が低くなり、バリキャップの容量は大きくなります。ですから、VCOの発振周波数は低くなります。 このようにVCOの発振周波数の調節が行われます。
ですから、fr > fv の状態で動作させます。 チャージポンプ
基準周波数(fr)と比較周波数(fv)の関係により以下のような出力をします。
LD端子(7pin)がその出力で、位相比較器の比較結果が直接出力されています。 出力内容は以下のようになっています。
定格
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