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配線に誤りが無いことを確認してから動作確認を行います。
下図のA〜Cはチェックポイントを示します。 電圧制御回路の動作確認
いきなりAC100Vを接続すると万が一誤配線があると装置を壊す恐れがあります。 VR1を最小電圧側(左いっぱい)にしておき、安定化電源の電圧を30Vまで徐々に上げていきます。テスターの電圧が約8Vくらいで安定するはずです。それ以上高くなるようであれば、電圧制御回路が正常に動作していない可能性があります。配線をもう一度確認してください。 私の測定では安定化電源から30Vの電圧を加えた場合、VR1を変化させることにより、7.9Vから29Vの範囲を制御できています。 ほぼ、設計通りの制御ができています。 電流制御回路の動作確認 次に電流制御回路の動作を確認します。 安定化電源を停止します。安定化電源の接続はA点で変わりはありません。 テスターを電流測定モードにして充電器の出力端子に接続します。充電器には電流計を付けているのでテスターを使用せずに出力のプラス端子とマイナス端子を短絡してもかまいません。 VR2を最小電流側(左いっぱい)にしておき、安定化電源の電圧を30Vまで徐々に上げていきます。テスターの電流が約85mAくらいで安定するはずです。それ以上流れるようであれば、電流制御回路が正常に動作していない可能性があります。配線をもう一度確認してください。 私の測定では安定化電源から30Vの電圧を加えた場合、VR2を変化させることにより、85.6mAから500mAの範囲で制御できています。ほぼ。設計通りの制御ができています。電圧制御用のVR1を変化させても電流は変化しません。これも設計通りです。この状態で充電器の電圧計は約1Vを示しています。これは逆流防止用のダイオード(約0.6V)と充電器の電流計およびテスターに加わっている電圧です。それぞれ、若干の抵抗を持っているので、出力を短絡しても充電器の電圧計は0Vにはなりません。 整流回路の動作確認 最後に整流回路の動作を確認します。 交流電圧には実効電圧(RMS:Root Mean Squared Voltage)が使われています。この電圧は電圧の最大値(ピーク電圧)ではありません。 なぜ、交流電圧に実効値が使われているかというと、電力を計算する場合、実効値だと簡単にできるからです。交流電圧はピーク電圧が維持されているわけではなく、時間とともに電圧が変化しているので、電力(電気が働く量)を計算する場合、ピーク電圧は使えないわけです。実効電圧はピーク電圧のの値になります。 W = Vrms x I rms (電圧と電流の位相が同じ場合) 今回使用したトランスの出力は24Vrmsですから、ピーク電圧は約33.6Vになります。A点にテスターを接続して測ったところ、35.0Vありました。この誤差は入力のAC100Vが正確に100Vではないことと、トランスの誤差によります。実際の家庭にきている電圧を110Vとすると、10%増しですから、33.6x1.1=37Vになるので、35.0Vは計算上も妥当な電圧です。 ということで、整流回路も正常に動作していることが確認できました。 消費電力の計算 500mAの充電電流でバッテリーを充電すると、充電器の底の部分が暖かくなります。熱くはありません。 電圧制御用および電流制御用のICでの消費電力を計算すると次のようになります。条件としてはバッテリーの充電電圧を14V、充電電流を500mA、電圧制御電圧を23Vとします。
逆に電圧制御用の電圧を低くすると、電圧制御用ICの消費電力は増え、電流制御用ICの消費電力は減ります。 合計の消費電力はあまり変わりません。電圧制御はバッテリーの過充電防止ですから、だいたい上記のような値です。 充電器全体では上記の値にR3とVR2での消費電力(約3W)が加わるので約10Wくらいの消費電力と見なせます。 充電電流を減らせば消費電力はもっと少なくなります。 今回の装置の性能をまとめると以下のようになります。
先に電圧制御回路動作確認で説明した値より最大電圧は高くなっています。 これは電圧制御回路動作確認では30Vまでしか加えなかったためです。 |