目次電子回路工作素材集±5V電源装置


±12V → ±5V 電源装置 部品説明



 プラス電源用3端子レギュレータ(LM317)


12Vの入力電圧を5Vの電圧に変換するレギュレータです。このレギュレータはプラス電源用です。本来、このレギュレータは出力電圧を1.3Vから37Vの範囲で変化させることができますが、今回は5V固定で使用しています。37Vの出力を得るためには入力電圧として40Vが必要です。






 マイナス電源用3端子レギュレータ(LM337)


このレギュレータはマイナス電源用です。電圧の極性が逆なだけで、機能性能はLM317とほぼ同等です。

入力および出力端子の位置がLM317と違いますので間違えないようにします。






 放熱器(ヒートシンク)


LM317およびLM337に取り付けます。レギュレータは1Aの出力電流を取り出すとかなりの熱が出ます。放熱器を取り付けないとその熱でレギュレータが壊れてしまいます。
本格的には発熱量を計算して放熱器の大きさを決めるのですが、今回の場合は手頃な大きさ(少し大きめ)のものを使いました。(大きい、小さいを判断するのも難しいですが)
放熱器はアルミ合金で作られていて熱伝導率が高く、軽いものです。表面積が広い方が熱を逃がす量が多くなりますのでヒダ(fin)を持った構造をしています。大きさはレギュレータを取り付ける面で高さ30mm、幅31mm、fin方向の奥行き20mmのものを使いました。
レギュレータは放熱器にネジ1本で取り付けます。
放熱器の種類によって違いますが、放熱器自体に固定用ピンが付いているものもあります。今回使用したものも2本のピンをプリント板に差し込む構造をしています。ピンをプリント板に差し込み、少し曲げて固定することもできます。

プリント板にハンダ付けして固定することもできます。私はユニバーサル基板を使用しましたので2mmの真鍮のハトメをピンに差し込み、ハンダで固定しました。





 シリコン・ラバー


レギュレータの放熱器取り付け部分は電極ピンと接続されています。LM317の場合は出力電圧ピンと接続されています。また、LM337の場合は入力電圧ピンと接続されています。放熱器が電気回路と接触しなければレギュレータを直に放熱器に取り付けても良いのですが、放熱器に入力電圧なり、出力電圧が出ているとうっかりドライバーなどで触るとショートする危険性もあります。
そこで、レギュレータを放熱器に取り付ける際には間に絶縁材を挿んで取り付けます。この絶縁材にはシリコン・ラバーという薄い膜を使用します。以前は雲母(マイカ)を絶縁材として使用していましたが、マイカは火がつくと燃えやすいということで最近はシリコン・ラバーを使用するようになりました。
レギュレータを放熱器へ取り付けるためには3mmのビスを使用します。しかし、レギュレータには約4mmの穴が開けられています。これはレギュレータの穴の部分にも円形の絶縁部品を取り付けて取り付けビスがレギュレータと接触しないようにするためです。シリコン・ラバーを購入するときに一緒に購入しておいた方が良いです。






 シリコングリース


レギュレータと放熱器をシリコンラバーを挿んで取り付けるのですが、熱伝導率を向上するためにシリコングリースを使います。シリコングリースは白いペースト状で、熱伝導率を高めるために金属酸化物が混ぜられています。シリコングリースはシリコンラバーの両面に塗り、レギュレータと放熱器の熱伝導を良くします。あまり多く塗る必要はありません。多く塗ってもレギュレータを取り付けると外にはみ出すだけで、効果ありません。






 ダイオード


レギュレータが外部の要因で壊れるのを防ぐためにダイオードです。1Aのものを使用しました。逆耐圧も高圧のものは必要なく今回は安価に手に入る100Vのものを使用しました。
取り付けの極性を注意しなければいけません。






 電圧調整用可変抵抗器


出力電圧を調整するための可変抵抗器です。この抵抗器に流れる電流は約10mAですので、通常の小型可変抵抗器で十分です。 500Ωの場合でも 0.01A x 0.01A x 500Ω = 0.05Wです。





 固定抵抗器


レギュレータの最低出力電流を流すために120Ωの抵抗器を使用します。また、LEDの電流制御用に1KΩを使用します。1/8Wのもので十分です。





 リップルフィルター用コンデンサ


レギュレータ自体でリップル(直流の中の交流成分)は抑えられていますが、さらにこれらのコンデンサを付けてリップルを少なくしています。
耐圧は使用する電圧により決める必要がありますが、1μFの場合小型のもので50V耐圧のものが一般的です。10μFのコンデンサには(VOUT−1.25)Vの電圧が加わりますので37Vの出力電圧の場合には50V位の耐圧が必要です。今回の場合、出力電圧は5Vですので、10V耐圧で十分です。実際には16V耐圧(WV:Working Voltage)のものを使用しました。





 ケーブル端子


入力および出力のケーブルを接続するための端子です。この形状である必要はありません。またはプリント板に直に線をつなぐのであれば必要はありません。





 0.6mm錫メッキ線


電流が流れる部分には0.6mm径の錫メッキ線を使用しました。0.32mmでも1A位の電流であれば問題ないのですが、気持ちてきに少し太い方が良いかと思いました。
ちなみに0.5mm径の場合、周囲温度が30℃のとき15Aの電流が流せると言われています。線材の種類により多少違うかも知れません。





 ユニバーサルプリント基板


今回の回路を作成するにあたり、本格的なプリント基板を使用するかユニバーサルプリント基板を使用するか迷いましたが、制作の容易性からユニバーサルプリント基板を使用することにしました。
25ホール x 30ホールのものを使用しました。

ユニバーサル基板





 金属スタッド


プリント基板をケースに取り付けるために使用します。金属である必要はありません。





 ケース


安価なプラスチックケースを使用しました。放熱板の高さなども考慮して決める必要があります。
レギュレータは発熱しますので、底および上部に穴を開け、熱が外に出るようにします。

今回使用したのはタカチ電機工業製のSY-150Bで、幅150mm、高さ54mm、奥行170mmです。





 正面パネルシート

端子の名称などが分かるように文字などを記入します。また、一目で入力端子、出力端子が分かるようしました。製品ではシルク印刷によりきれいに印刷されていますが、素人では簡単にシルク印刷はできません。レタリングシールを使用する方法もありますが、今回はプリンターでカラー印刷した紙をアクリルの板で挿む方法にしました。






 ジョンソン端子


入力、出力用の端子です。色分けをすると端子を間違えなくてすみます。
この端子は着脱が容易なバナナプラグを使用でき、また、ワイヤーを挿んで止めることもできます。





 バナバ・ジャック


バナナ・プラグを挿入するジャックです。ジョンソン端子のようにワイヤーを挿むことはできません。
入力端子として使用しました。





 バナバ・プラグ


入出力のワイヤーに取り付けて容易に着脱することができます。





 フック・チップ


出力ワイヤーの先端に付けました。上部を押すと先端からJ型のリードが出て接続先の装置の端子などに引っかけることができます。上部はバネで元に戻りますので、指を放すと先端のリードが引っ込み、しっかりと接続することができます。
電源ケーブル用に使用するため、大きいタイプを使用しました。





 パイロットランプ


+12Vの入力電圧でLEDランプを点灯させています。LEDの電流が約10mAになるように抵抗器を入れています。1KΩの抵抗を入れると約10mAになります。出力の5Vで点灯させることもできますが、余分な電流をレギュレータに流すことになるので、入力電圧を使用しています。
プラスとマイナスの両方にそれぞれLEDを付けるのも良いかと思います。