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PLL初期化回路シーケンス図
電源投入直後の動作 TR1とCで構成される回路は初期化回路の動作開始を電源投入から若干遅らせるために設けています。 これは電源投入後、PLL回路を安定した動作状態にしてから分周比設定データを送るためです。 電源投入直後、TR1はベースに接続されているコンデンサ(C)によりベース電流は流れず、OFF状態となっています。 そのため、X1の入力はHとなり、X1の出力はLとなります。X4、X5で構成されるマルチバイブレータ回路は電源投入直後から動作を開始しています。 X1の出力がL状態であるため、FF(H)のCLはLになり、クリア状態になります。そのため、出力HはL状態、出力はH状態になります。 また、X3の下側の入力はLであるため、X4、X5で作成されるパルス信号はブロックされ、FF(H)のCKには伝わりません。 FF(H)の出力HがLであるため、X8を通してFF(ABCD)およびFF(E)はリセット状態であり、出力A、B、C、DおよびEは全てL状態になります。 時間とともにコンデンサ(C)には電荷が溜まり、TR1のベースに電流が流れ始めます。TR1がON状態になると、X1の出力はHとなり、FF(H)のクリア状態は解除されます。それと同時にX3の下側の入力もHになり、X4、X5で作成したパルス信号が通れるようになります。この状態では出力がH状態であるため、X2もパルス信号を通せる状態になっています。 FF(H)はCKの信号がHからLに変化した時点で出力が反転します。 ですから、X1の出力がH状態になった後、最初にCKがHからLになった時点で出力HがH状態、出力がL状態になります。 この時点が初期化シーケンスのスタートになります。 出力がLになるとX2のゲートは閉じられ、パルス信号はFF(H)のCKには伝わりません。ですから、FF(H)は一度反転すると、電源がOFFになるまで出力の状態は変化しません。 クロック生成回路 X4、X5のNANDゲートを二つ使用してマルチバイブレータ回路を構成しています。 クロック周波数は約700Hzにしています。 初期化動作は電源を投入した直後だけの動作ですので、それほど高速にする必要もないので、上記の周波数にしました。あまり根拠はありません。 クロック・カウンタ 基準分周器用データ17ビットと比較分周器用データ17ビットおよびLEをカウントします。 カウンタとしてFF(ABCD)とFF(E)を使用します。 そのままですと32ビットのカウンタとなってしまうので、出力B[21=2]と出力E[24=16]のAND条件により19ビット目のクロックが入力された時点でFF(ABCD)およびFF(E)をリセットします。19ビット目としているのはLE信号の送出を含め一回のシーケンスで18クロックをカウントさせるためです。 分周器用データの生成 IC1およびIC2はセレクタ用のICです。このICには入力が16本、出力が1本および出力選択用の制御入力が4本あります。4本の制御用入力の状態により、16本の入力から一つ選択できます。 今回の場合、分周比は固定ですので、16本の入力は予めH(+5V)かL(0V)をプリントパターンで固定しています。 IC1は基準分周器用、IC2は比較分周器用です。 制御用入力にはFF(ABCD)の出力を接続し、16本の入力を順番に出力するようにしています。今回の回路では最初に基準分周器用のデータを送出し、次に比較分周器用のデータを送出するようにしています。 セレクタ制御用のカウンタには両方ともFF(ABCD)の出力を使っています。 実際のセレクタ入力は以下のようにしています。
比較周波数:119.3MHz
比較分周比:59650
比較分周データ:1110100100000010 基準分周データシーケンスと比較分周データシーケンスの切り替え 基準分周データと比較分周データの切り替えはFF(F)で行います。 FF(F)はFF(E)が18ビットカウント後リセットされて出力EがHからLに変化することにより反転し、FF(F)の出力FはLからHになります。 FF(F)の出力FおよびはY1とY2のそれぞれ接続しています。FF(F)の出力がHの場合、Y1(基準分周データ用)のゲートが開き、IC1のデータがDATA端子に出力されます。 FF(F)の出力FがHの場合、Y2(比較分周データ用)のゲートが開き、IC2のデータがDATA端子に出力されます。 コントロールデータの生成 16ビットの分周比設定データを送出した後、コントロールビットを送出します。 コントロールビットの発生タイミングは・E(17パルス目)の条件の時です。 この時点のの状態でコントロールビットの内容を決めます。最初のシーケンス(基準分周データ)でははH状態であり、DATA上のコントロールビットもHとなります。(基準分周器用指定) FF(F)はFF(E)の出力EがHからLになった時点で反転します。 ですから、次のシーケンス(比較分周データ)でははL状態になり、DATA上のコントロールビットもLとなります。(比較分周器用指定) LEパルスの生成 17ビットのデータを送出した後、LE(ロードイネーブル)信号をH状態にします。これによりDATAラインを通してPLLに送られた分周比データが分周器のプログラマブル・カウンタにセットされます。 LEの発生タイミングはA・Eの条件の時です。 基準分周器用と比較分周器用の2回発生します。 初期化回路の停止 比較分周器用のLE信号を送出した時点(出力FがHからLに変化した時点)でFF(G)が反転し、GがH状態、がL状態となります。 がLになることで、マルチバイブレータ回路のX4の上側の入力がLになり、マルチバイブレータ回路は動作を停止します。 これにより、PLLへのCLOCKも停止し、以後、余分なデータ設定は行われません。 FF(G)の状態は電源がOFFになるまで変化しません。 以上の動作により、PLLの分周比指定が行われます。
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