目次事例集安定化電源装置


安定化電源装置
部品説明



トランス


AC100Vの商用電源をAC30Vの電圧に変換します。AC30V側(2次側)の電流は4.8Aのものを使用しています。SINKO製の9Y3048を使用しました。
全ての突起部を含んだトランスのサイズは幅86mm、奥行き96mm、高さ76mmです。
重量は2.2kgあります。鉄と銅の塊です。





ダイオード・ブリッジ


交流を直流に変換する整流器です。全波整流をするために4つのダイオードが組み合わされています。今回の回路では最大5Aの電流が流れますので、ダイオード・ブリッジとしては10Aのものを使用しました。新電元製のS10VB20を使用しました。





小型トグル・スイッチ


電源のON/0FF用に使用しています。接点としてはAC125V 6A仕様です。
好みのものを使用します。スイッチのレバーに手が触れて不用意に電源が入ったり、切れたりしないようにするためにはトグル・スイッチよりスライド・スイッチの方が無難かもしれません。
トグル・スイッチのレバーにロック機構が付いているものもあります。今回は異常時に急いで電源を切る必要もあるかもしれないので、ロック機構の無いものを使用しました。





フューズ


安全のためにフューズを取り付けました。計算では出力の最大は30V×4A=120Wですので、トランスの効率が100%の場合、AC100V側(1次側)の電流は1.2Aになります。実際にはトランスの効率が100%ということはありませんので、それ以上の電流が流れます。2Aのフューズを使用しました。





ジョンソン端子


出力を取り出すための端子に使用しています。今回の回路では出力は接地(ケース)から浮かしています。ですから、マイナス側を接地すればプラスの電源として使用でき、プラス側を接地すればマイナスの電源として使用できます。
端子の中心の間隔は18mmにしています。この間隔でないといけない訳ではないのですが、ツインのバナナプラグの間隔に合わせました。





ケース


適当なサイズのケースはなかなか見つかりません。今回は以下のサイズのものを使用しました。
幅130mm、高さ120mm、奥行き230mmのものです。
摂津金属工業(アイデアル)社製のUB-13を使用しました。


ケースを選ぶ(私なりの)ポイントは以下です。
正面のサイズ:メーター、つまみ、スイッチ、端子、ランプなどの配置を考慮。
幅、奥行き:レギュレータのプリント板、トランスなどが無理なく配置できること。
金属製、通気口:トランス、レギュレータが発熱するので、放熱がよいもの。
デザイン:見栄えのよいもの。(これを追求すると高価になる)

ケースにトランスを配置する際に気を付けなければならないのは重心です。できるだけケースの中央に重心が来るように配置します。ケースの上部に持ち運ぶためのハンドルを取り付けますが、このハンドルを取り付ける際にも重心を考慮しないと持ち運び辛くなります。




電圧調整用可変抵抗器


電圧調整に可変抵抗器を使用します。1つの可変抵抗器だけでも良いのですが、希望の電圧に調整するのに苦労する場合があります。つまみを少し動かしただけで設定したい電圧を越えてしまうとか。そこで、今回の回路では2連の250kΩ可変抵抗器(電圧を大きく変更)とシングルの20kΩ可変抵抗器(電圧微調整)を組み合わせています。





つまみ


大きめのつまみの方が楽に電圧調整ができます。全体のデザインを考慮して適当なサイズのものを使用します。当然、つまみの軸穴は可変抵抗器の軸径と合っていなければいけません。





パイロット・ランプ


電源の動作状態(ON/OFF)を表示させます。表示は斜めから見ても点灯状態が確認できるタイプを使用しました。表示が大きかったので12V用の抵抗内蔵のLEDを選びました。
LED点灯時の電流を測定すると16mA流れます。LEDの電圧降下は約2Vですので、LEDの内部抵抗器は計算では625Ω((12V-2V)/16mA)です。
今回は約40Vの電圧で点灯させるので、電流制御用の抵抗を直列に入れます。外部抵抗器として1.8kΩを接続するとLEDに流れる電流は約16mA((40V-2V)/(1800Ω+625Ω))になります。
外部抵抗器の消費電力は0.5W(0.016Ax0.016Ax1800Ω)ですので、1Wの抵抗器を使用しています。


ランプの色は好みですが、一般的に以下のような使い分けをしているようです。
弱電の世界(通信機器など)
:正常動作状態(正常動作しているので、特に気を付けなくても良い)
:異常発生状態(何か異常が発生し、対応が必要。こちらを目立たせる)


強電の世界(電気設備など)
:停止状態(通電していないので、気をつけなくても良い)
:正常動作状態(通電中で危険。こちらを目立たせる)

すなはち、人間に目立たせたいのは何かによって使う色が変わるわけです。
今回は電源が入っていることを目立たせたいので、赤を使いました。(そんなに大げさなことではありませんが)




電流計


出力の電流を表示します。
出力は最大4Aですが、電圧によっては5A流せます。でも、4A以上連続に流すと危険なので、4A以上に赤いマークを入れました。
サイズは幅51.7mm、高さ42.7mm、奥行き31.4mm(端子を除く)です。
ERUNIK.K社製のEA38YBを使用しました。38はメータ取り付け穴の直径が38mmであることを示しています。




電圧計


出力の電圧を表示します。
出力の最大は30Vですので、30Vの電圧計を使用しました。
サイズは幅51.7mm、高さ42.7mm、奥行き31.4mm(端子を除く)です。
ERUNIK.K社製のEA38YBを使用しました。38はメータ取り付け穴の直径が38mmであることを示しています。




ACコンセント


電源装置の背面に他の機器用のACコンセントを2つ取り付けました。
ケースの背面にはもっと多くのコンセントを取り付けることもできますが、今回のACコードは太くないので、2つ付けました。太いコードを使用すればよいのですが、かさばるので止めました。





ACコード


7A(700W)用のコードを使用しました。
ACコードを接続する方法としてコネクタを使用する方法があります。
今回は以下のことを考えてACコードを電源装置に取り付けています。
ACコードを探すのが面倒
(整理しておけば良いのですが)
コネクタが必要
(部品が増える)






ACコード・ブッシュ


金属のケースの穴にACコード(ビニール)を直に通すと徐々にこすれてショートする危険性があります。それを防ぐためにプラスチック製の部品でACコードをケースに固定します。





フロント・パネル


正面パネルに操作部の名称を入れたりします。
市販の装置ではシルク印刷が当たり前ですが、素人にはそんな道具はありません。
シールを使う方法もありますが、今回は名称等を印刷した紙を透明なアクリル板で挟む方法にしました。アクリル板は0.5mm厚のものを使用しました。メーター、端子、スイッチ、可変抵抗器などの取り付け部分で固定されます。パネルに取り付ける際にゆがみが生じないように注意する必要があります。





中継ラグ端子


ACコードは電源スイッチとフューズにそれぞれ接続しますが、今回は中継ラグ端子板を使用して結線をしました。このようにすると配線の整理が容易です。
また、パイロットランプの外付け抵抗器も中継ラグで固定しています。





配線用線材


トランスの2次側(AC30V側)から出力までの間は最大5A位の電流が流れます。この部分の配線に使用する線材は許容電流を意識して選ぶ必要があります。今回、私が使用した線材は0.75VSFと呼ばれている7Aの許容電流のものです。
銅線は少ないですが抵抗値を持っています。ですから、大きな電流が流れると電力を消費し、熱を出します。線材の電流許容値はこの発熱で絶縁材が溶けることがないように規定さてれています。許容値以上の電流を流してはいけません。この許容値は銅線が溶ける電流ではありません。





端子カバー


ビニール製のパイプで端子に線材をハンダ付けした部分に被せます。ハンダ付けする前に線材に通しておかないと被せることができなくなります。太さはいろいろあると思いますが、私は同じサイズのものを3色しか持っていません。
本当は接触防止用ですが、実際には見栄えだけなので、必須ではありません。





バナバ・プラグ



出力のワイヤーに取り付けて容易に着脱することができます。





フック・チップ


出力ワイヤーの先端に付けました。上部を押すと先端からJ型のリードが出て接続先の装置の端子などに引っかけることができます。上部はバネで元に戻りますので、指を放すと先端のリードが引っ込み、しっかりと接続することができます。
電源ケーブル用に使用するため、大きいタイプを使用しました。





接地バー


今回の電源の出力は接地とは接続していません。ですから、使用する場合には接地(ケース)を出力端子のどちらかに接続します。
プラス電源として使用する場合は接地端子とマイナス端子をこのバーで接続します。マイナス電源として使用する場合は接地端子とプラス端子を接続します。
接続しなくてもプラス端子とマイナス端子には正常に電圧が出ます。
厚さ1mmの真鍮を使用しました。





取り付け金具


スイッチング・レギュレータを取り付けるための金具です。今回はケースの大きさの関係でレギュレータを立てて実装しています。
上部の金具は取り付け位置の関係で90度曲げています。




電流計測用抵抗器


レギュレータの特性を測定するためにレギュレータの入力電流を計測する抵抗器を付けました。
0.1Ω 5Wのセメント抵抗器です。
電流が4A流れた場合1.6W((4A)2 x 0.1Ω)の電力を消費します。
入力電流計測のために付けましたので、必須ではありません。





内蔵負荷抵抗器


出力に負荷を接続していない場合、レギュレータのコンデンサに蓄えられたエネルギーはすぐには減少しません。そのため、無負荷状態で電圧調整をしても、出力電圧の変化が緩やかで電圧調整が難しいです。
無負荷状態でもこの抵抗器でコンデンサのエネルギーを放電させ、電圧調整を容易にしました。
300Ω 5Wの抵抗器を使用したので30Vの出力電圧の場合、消費電力は3W((30V)2/300Ω)です。
電圧調整用の可変抵抗器を回したときの出力電圧の変化速度を実験し、この値にしました。
取り付け場所は実装スペースの関係で電圧計に並列接続しました。
常に負荷を接続して使う場合には必要ありません。




バインダー


ACコードを束ねて止めるものです。
このようなものでなくても良いのですが、お店で売っていたので購入しました。
簡単にコードを束ねたり、伸ばしたり出来るので便利です。




ファン(小型扇風機)

レギュレータから出る熱を強制的にケースから出し、レギュレータの温度上昇を抑えます。
レギュレータの温度上昇を測定した結果、最大出力時に許容温度(80℃)を越えてしまったので、取り付けることにしました。

MINEBEA社製の2412PS-10W-B30を使用しました。
大きさは高さ60mm、幅60mm、奥行き30mmです。
音は静かです。強い風を吹き出させることはできませんが、今回の用途には十分です。