今回の受信機の高周波増幅回路には部品の入手が容易なFETによる簡単な増幅回路を使用しています。
ですから、高感度は期待できません。高感度な受信機にするのにはFM受信機用のICを使用した回路がよいと思います。 高周波増幅回路 高周波増幅にはFETを使用した2段の増幅器を使用しました。FETはゲート(G)に加える電圧だけで増幅動作をします。FETのソース(S)に入れている抵抗器はゲートのバイアス電圧を作るためです。抵抗値を大きくすると接地に対してソースの電圧が上がり、バイアス電圧が大きくなります。増幅器の利得が大きい場合、出力の信号が入力に戻ると発振動作をしてしまいます。そのような場合、この抵抗値を大きくして利得を下げる必要があります。 FETのドレーン(D)側に入れている同調用のコイル(L2およびL3)は中間タップに電源を接続します。このようにするとコイルの同調特性が良くなり、安定した動作をさせることができます。共振回路の特性はキュー(Q)と呼ばれます。同調回路は理想的には共振周波数だけの信号が取り出されれば良いのですが、実際には共振周波数を中心に富士山の裾野のように近傍の周波数も取り出します。同調回路のQが高いと言うのは共振周波数での電圧が高く、結果として裾野の幅が狭くなり、同調特性が良いということになります。 高周波検波回路 高周波増幅器の出力をゲルマニュームダイオードで直接検波しています。ダイオードで高周波電圧を整流し、直流電圧にします。この回路は倍電圧整流回路でより高い直流電圧を得ることができます。入力に使用するコンデンサ(C6)の値が大きいとコンデンサの充電に時間がかかり、出力電圧の変化が干満になります。今回の値はカットアンドトライで決めました。 電圧比較回路 高周波検波回路で作られた直流電圧は受信する電波の強さにより変化します。 今回の回路では電波を受信しているか、していないかの状態を判断して制御コードの識別します。ですから、電波を受信していれば電圧比較回路の出力をHレベル状態にし、受信していなければLレベル状態にします。IC1のマイナス端子には雑音で誤動作しないように若干プラスの電圧を加えています。R4に10kΩ、R5に100Ωを使用し、電源電圧が12Vですから、マイナス端子は12x100/(10000+100)=0.12V になります。たぶん、雑音は無いのでマイナス端子は接地してもかまいません。検波回路の出力電圧(プラス端子入力)がマイナス端子の電圧より高くなると電圧比較器の出力はHレベルになります。出力にはツェナーダイオード(5V用)を接続しているので、Hレベルは5Vで、PICの許容電圧を越えないようにしています。 PICクロック発振回路 PICを動作させるためにクロック発振子を付けます。発振子として水晶発振子すると正確な発振周波数が得られますが、今回はセラミックを使用したレゾネータを使用しています。今回の回路ではPICの高速動作は必要ないので発振周波数は4MHzを使用しています。 リレー駆動回路 PICのRB5およびRB7ポートを使用してリレーを動作させます。リレーの駆動電圧には12Vを使用し、トランジスタを使用してPICの出力により制御します。 リレーの動作状態が分かるようにリレーの動作と同時にLEDを点灯させます。LEDには直列に抵抗器を入れ、LEDに流れる電流を約10mAに制限しています。 リレーには並列にダイオードを入れています。このダイオードはリレーの動作が復旧するときに発生する逆起電力による電流を流し、トランジスタに高電圧がかかることを防いでいます。今回使用しているリレーは小型のものなので、ダイオードを付けなくてもトランジスタが壊れる危険性は少ないです。安全のために付けています。 電源回路 12Vの電源からPICに必要な安定した+5Vの電圧を作るために3端子レギュレータを使っています。 PICに使用するだけなので100mAタイプで十分です。 |