目次事例集超高精度デジタル時計超高精度デジタル時計の作成


TVチューナ


正確な時刻を得るためにテレビ映像信号の中のカラーバースト信号(3.579545MHz)を使います。

NTSC方式のカラー・テレビ信号では色の情報(色相、飽和度)は搬送色信号によって送られて来ますが、搬送波には色副搬送波はありません。色副搬送波は受像機で作るわけですが、その時の色副搬送波の周波数と位相は放送局のものと厳密に一致しなければなりません。そのため映像信号の水平帰線消去期間に8〜9サイクルの色副搬送波を挿入しています。この信号をカラー・バースト信号と言います。


また、放送局では他局とネットワーク放送を行うことがあり、このカラー・バースト信号がずれると色が違ってしまうので精度が非常に重要になります。
カラー・バースト信号の周波数の正確さは秋月電子通商の「10MHz標準周波数発生キット」のメモによると、NHK本局では第一水準器であるセシウム発振器を使用して、±1×10-12 だそうです。また、民放のキー局では第二水準器であるルビジウム発振器を使用して、±1×10-11 の正確さだそうです。
10-12 とはどの位の正確さかと言うと、1兆秒で1秒狂うという精度です。1年は31,557,600秒ですから、1秒の狂いが出るのに31,688年(約3万年)と言うことになります。10-11 でも約3千年で1秒狂うという正確さになります。
合っているかな?
余談ですけど「閏年」を1日の秒にすると59秒位なんですね。1時間に2.5秒弱。1日の長さを決めるときに59秒は誤差の範囲だったんですね。
今回作成する時計ではTV放送が行われない時には同期しません。また、PLLの動作誤差もあり得ますので、上記のような正確さにはなりません。PLLの動作誤差とはフェーズコンパレータの比較精度、VCOの制御性能(コンパレータからの制御電圧に対して周波数の補正をどれだけ速く行えるか)によります。



さて、映像信号の得る方法ですが、テレビ受像機の映像信号(黄色のピン・コネクタ)から得る方法がありますが、私は小型のテレビチューナを使いました。


小型のテレビチューナは何種類かあります。500円から1000円位で手に入ります。
チューナから得た映像信号はPLL発振器に入力しますが、若干相性があります。チューナの説明書では映像出力をバッファ・アンプを通して接続するように記載されていますが、この方法ではPLL発振器への入力レベルが低いようで、うまく同期をしてくれません。
そこで、バッファ・アンプは使用せずにコンデンサ(電解コンデンサを使いました)を通して直接接続しています。
ちゃんとしたバッファ・アンプを作ればその方が良いと思いますが、コンデンサによる直結でも良好な結果が出たのでそのままにしています。



BU: UHFセレクト(13〜62ch)
VT電圧チューニング端子
BHVHFセレクト(4〜12ch)
BLVHFセレクト(1〜3ch)
AGCAGC入力(内部接続されているので不使用)
電源入力 DC12V
AGC出力(内部接続されているので不使用)
音声出力
11AFC出力(内部接続されているので不使用)
13映像出力


仕様ではチューニングの電圧が28Vとなっていますが、特別に電源が必要なので12Vの電源を使いました。映像を見るわけではないので全ての局を選択できる必要はありません。どこかの局が受信できれば良いのです。12Vの範囲で良好に受信できる局が無い場合には電圧を高くして他の局も選択してみる必要があります。