目次電子回路工作素材集スッチング・レギュレータ(2)ステップアップ・コンバータ


ステップアップ・コンバータ
性能測定
(MC34063A)



 負荷変動による電圧・電流変動

出力に接続する負荷抵抗を小さくしていくと、ある時点から出力電圧が低下します。今回作成した回路では負荷抵抗器を100Ω以下にした時点から出力電圧が低下し始めます。これは入力電流の制限(計算では1.3A)によるものと思われます。




 負荷変動による電力変動

上の図は負荷抵抗の値を小さくした場合の入出力電力および効率の変化を表しています。100Ω以下の抵抗の場合でも出力電力は徐々に上昇していますが、出力電圧が低下していますので、実用としては使えません。
実用領域での効率は70%から80%位です。コンバータでの損失(入力電力−出力電力)は約2Wで、負荷が変わってもあまり変化はしていません。ですから、出力が小さくなると、効率が下がってきます。




 入力電圧低下による電圧・電流変動

入力電圧を低下させた場合の出力電圧及び電流の変化を測定してみました。
負荷抵抗が100Ωの場合はコンバータ能力の上限ですので、入力電圧を下げると出力電圧も下がり始めます。
負荷抵抗が200Ωの場合は入力電流に余裕があり、約7Vまで下げても出力電圧は30Vを維持しています。入力電流は出力電力に見合う分増加していきます。負荷が200Ωの場合、入力電圧が7Vになると入力電流が約1Aに近づき能力の限界となっています。それ以下の電圧にすると出力電圧も低下し始めます。




 入力電圧低下による電力変動

上の図は入力電圧を低下させた場合の出力電力および効率の変化を表しています。
負荷抵抗が100Ωの場合は入力電圧の低下に伴って出力電力も低下し始めます。
負荷抵抗が200Ωの場合は約7Vまで一定の出力電力が供給されています。入力電力もあまり変化せず、コンバータの損失は約2Wになっています。




 脈流電圧


上の写真は無負荷時の出力に出ている脈流電圧の波形です。電圧は約30mVp-pです。出力電圧が30Vですから0.1%の脈流になります。

この脈流電圧は負荷に電流が流れるとほとんどなくなり、きれいな直流電圧になります。今回の回路では二次フィルタを設けていますので、負荷に電流がながれると二次フィルタのコイル(L2)の平滑作用が働き、脈流電流の流れを阻止するためと思われます。