目次電子回路工作素材集+5Vスッチング・レギュレータ


+5V スイッチング・レギュレータ(1)
性能測定


LM2575-5.0を使用したスイッチング・レギュレータの性能測定をしてみました。
測定方法は負荷抵抗値を徐々に小さくして、出力電力を増加させる方法で行っています。
計測項目は出力電圧および入力電流の変化です。
負荷が急激に変動した場合の特性もレギュレータの重要な特性ですが、測定器ツールを持っていないので、測定していません。

出力電流、入力電力、出力電力および効率はそれぞれ以下の計算式で算出しています。
出力電流(A)
入力電力(W)
出力電力(W)
効率(%)



出力電圧(V)/負荷抵抗値(Ω)
入力電圧(V)×入力電流(A)  [入力電圧=12V]
出力電圧(V)×出力電流(A)
(出力電力(W)/入力電力(W))×100




 負荷変動による電圧・電流変動

負荷を徐々に減らすと約2Ωで最大出力になります。それ以下の負荷抵抗値では出力電圧は低下し、出力電力も下がります。この変化は出力電流の制限回路が動作して、過電流によるレギュレータの破損を防止しているためと思われます。仕様では2.2Aが制限値になっています。
でも、仕様での出力電流の保証値は1Aです。2Aの出力電流で連続動作させた場合にレギュレータが壊れても文句は言えませんので、注意して下さい。




 負荷変動による電力変動

LM2575-5.0の効率は約80%と非常に良い値となっています。出力電流1A(5W出力)のときの入力電力は6Wですので、レギュレータでの損失は1Wになっています。
測定では最大出力は約11W(出力電流2.2A)が計測されています。このときのレギュレータ損失は約1.5Wですので、効率は約88%と高効率になっています。
今回は放熱器を取り付けましたが、このような損失であれば特に放熱器を付けなくても大丈夫です。
今回の温度測定結果でも温度上昇は小さな値になっています。





 脈流電圧

スイッチング・レギュレータの場合、その動作の関係で出力に脈流が発生します。


無負荷状態での出力波形

5W出力時の出力波形
上の写真で左側は無負荷状態で出力に現れる脈流を示しています。脈流電圧は約10mVp-pですので、5Vの出力電圧に対して約0.2%の脈流成分になります。
右側の写真は負荷電流が1A(5W出力)のときの脈流を示しています。脈流電圧は約100mVp-pですので、5Vの出力電圧に対して約2%の脈流成分になります。
今回の回路では二次フィルタを設けていませんが、数μHのコイルと数百μFのコンデンサを組み合わせた二次フィルタを設けることにより、脈流成分を減少させることができます。



5W出力時の二次フィルタ出力波形

上の写真は二次フィルタを出力回路に接続し、二次フィルタの出力を観測したものです。
脈流電圧はほとんど観測されていません。5mV(0.1%)以下の電圧です。

上の写真は全て同じレンジで観測したものです。