コンデンサによる位相変化 コンデンサに交流信号を加えた場合、コンデンサに流れる充放電電流とコンデンサ両端に現れる信号電圧位置(位相)は90度ずれます。 電流の変化に対して電圧は90度遅れた変化をします。 コイルによる位相変化 今回の事例では使用していませんが、コイルに交流信号を加えた場合、コンデンサとは逆に電流に対して電圧の位相は90度進んだ変化をします。 オペアンプによる積分回路
正相入力端子に信号を入力した場合 オペアンプのプラス入力端子に信号が入力されるとオペアンプは出力として同相の出力を出そうとします。しかし、コンデンサがあるため、オペアンプの出力はコンデンサへの充放電電流になります。 コンデンサの電流に対して電圧は90度遅れますので、オペアンプの出力信号電圧は入力信号に対して90度遅れた信号になります。
オペアンプのマイナス入力端子に信号が入力されるとオペアンプは出力として逆相信号(180度ずれた信号)を出そうとします。 コンデンサの電流に対して電圧は90度遅れますので、オペアンプの出力電圧は入力信号に対して270度(180+90)遅れた信号になります。 オペアンプによる発振回路 アンプ回路を使用した発振回路ではアンプの入力信号の位相と出力からフィードバックされる信号が同相の場合に発振動作が行われます。 オペアンプを使用した積分回路ではマイナス入力端子を使用すると270度遅れた信号が出力されます。 今回の回路ではマイナス端子入力の積分回路を2つ使用しています。ですから2つの積分回路の入力と出力の位相差は540度(180度)ずれることになり、このままでは発振は行われません。 そこで、もう一つマイナス端子入力のオペアンプ(180度)を入れることにより発振のループができます。 この回路はB点からIC2のプラス入力に信号を帰還させると状態変数型アクティブ・フィルタと呼ばれる回路になります。 発振器の振幅制御 左の図の青い部分が振幅制御回路です。 今回の回路で難しいのがこの回路です。オペアンプの場合、利得の制御は通常マイナス入力への帰還量により行いますが、今回の場合発振回路のオペアンプのマイナス入力は発振動作のために使われます。そのため、通常の利得制御はできません。そこで、IC2の出力をIC1の入力に戻すことにより振幅制御しています。IC2の出力はIC1のマイナス端子入力に対して90度遅れています。IC2の出力の帰還量を多くすると発振動作は抑えられます。ですから、発振電圧により帰還量を制御すれば安定した発振動作を行わせることができます。帰還はIC1のプラスおよびマイナス入力の両方に行い、発振ループへの影響が大きくならないようにしています。R3がないと発振動作は停止します。帰還量の制御にはFETを使用しています。FETのソースを接地に接続するため、振幅制御はIC1のプラス端子への帰還量で制御します。 制御回路の動作は以下のようになります。 発振器の出力を全波整流してマイナスの直流電圧を作ります。この電圧をFETのゲートに加え、FETのドレーンとソース間の抵抗値を変化させます。FETの動作については「正弦波発振器 動作説明」を参照してください。 直流電圧は発振器の出力電圧により変化します。発振器の出力電圧が大きくなるとマイナス電圧は大きくなり、FETのドレーンとソース間の抵抗値は大きくなります。これにより、IC1のプラス端子への帰還量が多くなり、発振の出力は小さくなります。VR1により出力電圧の振幅調整を行います。発振信号の電圧が電源電圧以上の場合、振幅の先端がカットされる(クリップ)ので、それ以下の振幅電圧に調整します。 リサージュ オシロスコープのX軸に正弦波、Y軸に余弦波を入力すると、円形のリサージュ( Lissajous )図形を描くことができます。 ひずみの無い信号の場合、描かれる円は真円になります。ひずみを目で見て確認することが出来ます。目で見て確認するレベルですので、詳細の歪率は分かりません。正確な歪率を測るのには歪率計が必要です。 下の写真は今回作成した回路のものです。
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