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電子回路工作素材集
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三角波発振器
三角波発振器の動作説明
TL082オペアンプの規格
TL082は一つのパッケージにオペアンプが二つ封入されています。
ピン配置図(上面図)
最大定格
項 目
記号
定格値
単位
電源電圧
V
CC
V
EE
+18
-18
V
差動入力電圧
V
ID
+/-30
V
入力電圧範囲(注1)
V
IDR
+/-15
V
出力短絡時間(注2)
t
SC
連続
許容損失
(プラスチック・パッケージ)
PD
1/8
JA
680
10
mW
mW/degC
動作周囲温度範囲
T
A
0 - +70
deg C
保存温度範囲
T
stg
-65 - +150
deg C
注1:
入力電圧の大きさは、電源電圧または15Vのうち小さいほうの値を超えてはいけません。
注2:
出力はグランドまたはいずれかの電源に短絡することができます。許容損失定格を越えないよう、温度または電源電圧、あるいはその両方を制限する必要があります。
TL082 データシート
TL082は元々テキサスインスツルメンツ社が開発したものですが、セカンドソースとして以下のものがあります。
メーカ
品 名
NEC
μPC4082
JRC
NJM082
松下
AN1082
日立
HA17082P
富士通
MB47082
MOT
TL082
トムソン
TDB0082
EXAR
XR−082
三洋
LA6082D/S
シャープ
IR9082
三角波発振器
下で説明しているシュミット回路と積分回路を組み合わせて三角波発振回路を構成します。
IC1がシュミット回路で、IC2が積分回路です。
シュミット回路の出力(A点)は電源投入時はプラスかマイナスの飽和電圧となります。
ここの説明ではプラスの飽和電圧とします。
A点がプラスになると抵抗器R1を通してコンデンサCに電流が流れます。コンデンサに電荷が溜まり始めるとコンデンサの両端の電圧は上がり始めます。IC2のマイナス入力端子はほぼ0Vですので、積分回路の出力(B点)の電圧は徐々に下がります。
IC1のプラス入力端子電圧(C点)はA点とB点の電圧差を抵抗器R2およびR3で分圧したものです。
B点の電圧が下がり始めるとC点の電圧も下がります。(降下率は抵抗器R2とR3の比によります)
C点の電圧が0Vを下回るとシュミット回路の出力(A点)の電圧は急激にマイナスへと変化します。
C点の電圧が0Vを下回るためにはR2>R3の条件が必要です。
すると、コンデンサCへの電流の流れは逆転し、抵抗器R1を通してA点方向に電流が流れます。
これにより、B点の電圧は徐々に上昇します。
このときC点はマイナス方向に変化し、B点の上昇に従って上昇します。(上昇率は抵抗器R2とR3の比によります)
C点の電圧が0Vを上回るとシュミット回路の出力(A点)は急激にプラスへと変化します。これによりB点はマイナス方向へと変化します。C点の電圧が0Vを上回るためにもR2>R3の条件が必要です。
以後、この動作を繰り返し、A点には矩形波が出力され、B点には三角波形が出力されます。
オペアンプの基本
オペアンプとは増幅率が非常に大きなアンプです。
今回使用しているTL082の場合、仕様書では150V/mVとなっています。入力0.1mVで15Vの出力。と言うことは150,000倍の増幅となります。オペアンプの場合、この増幅率の値はあまり関係ありません。とにかく増幅率が大きいということが重要です。
反転増幅
オペアンプにはプラスの入力とマイナスの入力があります。
マイナスの入力は入力電圧が上がると出力は下がります。すなわち、マイナス入力を使用する場合には反転増幅になります。
増幅率は以下の式で求められます。
G = Vo/Vi = −(Rf/Ri)
Rf = 100KΩ、Ri = 10KΩの場合
増幅率Gは10倍となります。
オペアンプの増幅率が非常に大きいので、入力マイナス端子の電圧はほぼ0Vです。(実際には数十μV)
ですから、回路の入力インピーダンス(抵抗成分)はほとんどRiになります。
また、オペアンプ自体への入力電流はほとんど流れません。
正相増幅
プラスの入力端子に入力信号を加える方法です。入力電圧が上がると出力電力も上がります。
増幅率は以下の式で求められます。
G = Vo/Vi = 1+(Rf/Ri)
Rf = 100KΩ、Ri = 10KΩの場合
増幅率Gは11倍となります。
シュミット回路
シュミット回路は出力の帰還を入力のプラス端子に行います。これによりオペアンプの増幅は加速されます。
この回路では出力はプラスかマイナスの飽和電圧(ほとんど電源電圧)になります。
マイナス入力端子が接地(0V)ですので、入力電圧が0Vを少しでもプラスに越えると出力電圧はプラスの飽和電圧になります。逆に入力が0Vを少しでも下回ると出力電圧はマイナスの飽和電圧になります。
オペアンプの変形的な使い方です。今回はこの回路を使います。
オペアンプによる積分回路
反転増幅回路の帰還用抵抗器の部分をコンデンサに代えた回路です。
オペアンプ自体の入力電圧はほぼ0Vですので、抵抗器Rを流れる電流(I)は以下の式になります。
I = Vi/R
オペアンプにはほとんど入力電流は流れませんので、この電流はそのままコンデンサ(C)に流れます。
Viが一定の電圧の場合、コンデンサに流れ込む電流も一定になります。ですから、コンデンサの両端の電圧は時間と共に直線的に変化し、出力電圧(Vo)は直線的に変化します。
抵抗器とコンデンサだけによる積分回路ではコンデンサに流れ込む電流は時間と共に変化するため、出力電圧は直線的に変化しませんが、オペアンプを使用した積分回路では電流が一定なので、直線的に変化します。
下の図はCRだけの積分回路とオペアンプを使用した場合の電圧を比較したものです。
上の回路図の青い線のように電流が流れるときにはVoは時間と共に下がります。
CとRだけの場合
オペアンプの場合